地のエレメントの物語

シニョーリア広場地区
12 /23 2016
ヴェッキオ宮殿の中にある「フランチェスコの書斎」に関して以前に書いたものを補完する形で、まだ紹介していなかった場面を見ていくシリーズの第3弾です。
以前の関連ページはこちら。
ミクロコスモなフランチェスコの書斎
軍人コジモと学者フランチェスコ
メデューサの血から生まれた珊瑚

天井画の「地のエレメント」の下も、すでに紹介した「火のエレメント」の壁と同じく上下2層の絵画彫刻作品が並んでいます。まずは上段から。

「プルトン」ポッジーニ作 ブロンズ彫刻 冥府の神様
「鉱山」ズッキ作
「オプス」アンマンナーティ作 ブロンズ彫刻 古代ローマ神話の繁殖の女神、地球の女神


「鉱山」
ズッキがヴァザーリとともにローマに赴く1570年より前に描かれたと考えられる作品。
幾つかの鉱山の様子が描かれていて、右では鎖に繋がれた奴隷が細い道で石を切っている様子。他の人は石を彫ったり運ぼうとしています。奥の方の赤い傘の下にフランチェスコ1世と奥方がいて、岩を見せられています。大公は貴石や金属に深い興味を持ち、標本を作らせていました。
鉱山

下段の作品はこちら。

「ヘスペリデス(大地の女神)のドラゴンを倒すヘラクレス」←プルトン像の下
ヘラクレスが棍棒でドラゴンを打とうとしています。ドラゴンはヘスペリデスの庭園を守っているのですが、ヘラクレスはこの園から黄金の林檎を盗む命を受けているのです。
「金色の林檎(玉)」はメディチの家紋につながるイメージで、またヘラクレス自体もメディチが好んで使う力の象徴でした。
りんごの略奪

「デウカリオーンとピュラー」←「鉱山」の下
デウカリオーンはクレータ島の王ミノスの息子。ピュラーは有名なパンドラの娘。
「青銅の時代」の人間が驕慢であったため、ゼウスは滅ぼすことを考えて大洪水を起こします。デウカリオーンは箱船を建造し、必要な物品を積み込んで、妻ピュラーと共に乗り込みました。正しい男女一組だけが残ったことを確認してゼウスは洪水を鎮めます。
地上に戻った二人は、女神の助言「母の骨を、歩みつつ背後に投げよ」に従い「大地を造る岩(母の骨)」を投げます。デウカリオーンの投げた石からは男が、ピュラーの投げた石からは女が生まれました。
ピュラー

「アタランテー」←「オプス像」の下
ギリシア神話の優れた女狩人。
捨て子であったアタランテーは雌熊に乳を与えられて育ち、狩人の一団に発見されます。やがて彼女は狩人として名声が高くなり、求婚者たちが押し寄せます。そこで結婚の条件として、求婚者が彼女自身との競走に勝つこととします。なんと競争に負けた者は殺されるとしました!そして彼女は生きている人間のうちで最も足が速かったのです。求婚者ヒッポメネースはアフロディーテからもらった3個の黄金を、競争のとき後ろから迫るアタランテーに投げます。彼女がこれに気を取られているうちに見事ゴール。
アタランテ

部屋は長方形をしているので「火のエレメント」「水のエレメント」の辺が長くて多くの作品があり、「地のエレメント」「空気のエレメント」は短辺で作品数が少ないんです。
「火のエレメント」に比べると上下の作品テーマのつながりはあまりなく、ただ「地」に関するテーマを並べたようですね。

次回は「水のエレメント」編です。

参照 「Palazzo Vecchio e I Medici」 guida storica di Ettore Allegri e Alessandro Cecchi, studio per edizioni scelte
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。