水のエレメントの物語1

シニョーリア広場地区
12 /24 2016
ヴェッキオ宮殿の中にある「フランチェスコの書斎」に関して以前に書いたものを補完する形で、まだ紹介していなかった場面を見ていくシリーズの第4弾です。

「火のエレメント」「地のエレメント」に続き、天井画「水のエレメント」の寓意画の下に並ぶ絵画作品をご紹介していきます。
上下2層に並ぶ板絵、上段の左右端には彫刻作品があります。
アンフィトリーテー(ギリシア神話の海神ポセイドーンの妃)ロレンツィ作
ヴィーナス ダンティ作
ヴィーナスは海の泡から生まれたとされますので、両方とも「海」に関係した女神像ですね。

それでは上段の作品です。
「ポッツォーリの浴場」マッキエッティ作
プリニウスによると「硫黄、明礬、塩、炭酸、タールなどを含むバリエーションに富んだ浴場であった」とされるポッツォーリの古代水浴施設の様子を表現しています。水に浸かる人、階段で体を乾かしている人、左には医療の神アスクレーピオスの像が見えます。
浴場

「紅海の道」サンティ・ディ・ティート作
フランチェスコの書斎で「唯一」聖書が扱われている場面です。モーゼに連れられ紅海の中に開かれた道を渡るユダヤの民、追跡してきたエジプト軍の上に波が押し寄せ、海の道は神の意志によって閉ざされます。
どうしてこのテーマがこの場所で扱われたのか?「魔法によって自然を操る」というイベントが錬金術につながるからだと推定されています。
紅海の道

「ペルセウスとアンドロメダ」ヴァザーリ作
ペルセウスがアンドロメダを救う場面です。
海神ポセイドーンの怒りに触れて、海の怪物ケートスの生贄にされるため、突き出た岩に縛り付けられたアンドロメダ。ペルセウスは他の冒険で切断したメドゥーサの首を使い、怪物を石に変えました。この場面では足元にメドゥーサの首が落ちているのですが、そこから血が滴り落ち、赤い珊瑚になる様子が描かれています。ちなみに砂漠に落ちたメデューサの血からは、サソリなどの猛毒の生き物が生まれたという伝説です。
メデゥーサ

「ポプラに姿を変えたパエトンの姉妹」あるいは「琥珀の創造」サンティ・ディ・ティート作
古代ローマの詩人オウィディウス著「変身物語」によると、太陽神アポロンの息子であるパエトンは、父に願って太陽の戦車を操縦しましたが、太陽の戦車が暴走し、地上に大火災が発生し世界中の川が干上がります。最高神ユピテルはやむなく雷霆を投じてパエトーンを撃ち殺しました。
パエトンの姉妹のヘーリアデスたちは泣き続けポプラに変身、母が悲嘆のためにその樹木をかきむしったところ、垂れた樹液は琥珀となりました。
琥珀の創造

「ambracaneの収穫」ナルディーニ作
エッセンスや香水のベースになる成分ambracane(琥珀の一種)の収穫を表現しています。この成分はアフリカ人がambracaneと呼ぶ魚から採集できると信じられていました。背後ではクジラのような魚を捕獲する場面が描かれています。
琥珀の収集

「真珠の採集」アレッサンドロ・アッローリ作
サイレーンや海の馬の姿が見える海で男女や子供が真珠を採集している様子です。
真珠の採集

次回は「水のエレメント」下段の絵画作品を見ていきます。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。