水のエレメントの物語2

シニョーリア広場地区
12 /25 2016
ヴェッキオ宮殿の中にある「フランチェスコの書斎」に関して以前に書いたものを補完する形で、まだ紹介していなかった場面を見ていくシリーズの第5弾です。

「火のエレメント」「地のエレメント」に続き、天井画「水のエレメント」の寓意画の下に並ぶ絵画作品をご紹介していきます。
上下2層に並ぶ板絵のうち今日は下段。メディチ家のフランチェスコ1世が錬金術に使うため収集した品が収められていた隠し戸棚、その扉が絵画作品で飾られています。

「ネプチューンとアンフィトリーテー」ポルテッリ作
海の神ネプチューン(ポセイドン)とその妃の姿です。この作品の裏の棚には貝がらや自然から採取したものを彫金や貴石で加工した作品が収められていたそうです。これらのコレクションは現在はピッティ宮殿の銀器博物館に展示されています。
ネプチューンと妃

「アイソーンを若返らせるメーデイア」ポッピ作
古代ギリシャの都市イオールコスの王であったアイソーンは、異父兄弟に王座を奪われ、亡命します。
オウィディウスによる『変身物語』では、年老いたアイソーンがヘカテー神殿に仕える巫女メーデイアの魔力で若返っているエピソードがあります。
メーデイア

「ティリアンパープル(貝紫色)の発見」ポルテッリ作
ヘラクレスがフェニキアのティルスに滞在していた時、恋人の犬がたまたま海岸で貝殻を噛み砕いたところ、中から赤い液体が出てくることを発見しました。恋人はこの色で服を染めたいと考えます。
澄んだ赤みの紫は貝紫色、ロイヤルパープル、ティリアンパープル、古代紫と呼ばれます。巻貝から得られるプルプラという分泌液を化学反応させて染色に用いていました。
古代紫

「夢の寓意」ナルディーニ作
夢と夜に関連した人物像やシンボルが描かれています。人物はディアナ(月の女神)モルペウス(夢の神)ファンタソス(夢の神、モルペウスの兄弟)シンボルではフクロウ、仮面、阿片を作るケシの花←この3つはミケランジェロがメディチ家の墓碑のために彫った「夜」の像にも見られます。
夜と夢

「クレオパトラの饗宴」アレッサンドロ・アッローリ作
クレオパトラは、ローマの将軍マルクス・アントニウスと饗宴の豪華さを競いました。
賭けは自分の勝ちだと確信するアントニウスの前で、クレオパトラはの大きな真珠のイヤリングを酢に溶かし、迷うことなく一気に飲み干します。この絵も戸棚の扉の装飾で、中には真珠が収められていました。
クレオパトラの饗宴

「ヴィーナスの帯を借りるユノー」コーシャ作
ヴィーナスの帯は着用したものに性的魅力を与えるとされました。ユノーは夫のユピテルの注意をトロイ戦争から逸らすため、彼を誘惑しようとヴィーナスから帯を借ります。その間に他の神がトロイを助ける計画でした。
ヴィーナスの帯

次回は最後のエレメント、「空気のエレメント」の物語を見ていきます。

参照 「Palazzo Vecchio e I Medici」 guida storica di Ettore Allegri e Alessandro Cecchi, studio per edizioni scelte
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。