フィリッピーノの苦行者たち

サンマルコ地区
01 /18 2017
フィレンツェのアカデミア美術館はミケランジェロの彫刻で有名ですが、絵画作品も数多く展示されています。ゴシックからマニエリズムまで、アカデミア美術館の絵画作品を紹介していきます。

今日はボッティチェリの弟子であり、画僧フィリッポ・リッピの息子であるフィリッピーノ・リッピの作品を紹介します。

「洗礼者ヨハネ」 1500年ごろ 油彩板絵
洗礼者ヨハネ
おそらく「磔刑」を中心に、この「洗礼者ヨハネ」と「マグダラのマリア」を左右に置き、トリプティク(三幅対祭壇画)を構成していたと考えられます。
ヴァザーリの記述によれば破壊されたサン・ルッフィッロ教会にあったとされます。しかしヴィンチェンツォ・ボルギーニはサン・プローコロ教会のヴァローリ礼拝堂にあったとさらに詳細な記述を残しているので、ヴァザーリが間違えていた可能性があります。

17世紀に3枚の作品はバラバラにされ、中央部分はベルリンにて第二次世界大戦中に破壊されてしまいました。

描かれた時代が1500年ごろであるとするならば、フィリッピーノの最後のフレスコ画(サンタ・マリア・ノヴェッラ教会 ストロッツィ礼拝堂 1502年完成)に近い時期の作品です。フィリッピーノは1504年に亡くなります。47歳でした。

洗礼者ヨハネは壁龕の中にいて、右のほうを見ています。痩せた体、ボロボロの洋服、乱れた頭髪、裸足。身体的、精神的苦しみを表現しているのは、サヴォナローラによって導かれ宗教に回心したスポンサーのリクエストなのでしょう。

「マグダラのマリア」 1500年ごろ 油彩板絵
マグダラのマリア
マグダラのマリアも壁龕の中にいて、左を見ています。洗礼者ヨハネと同じように苦行者のやつれた姿です。
「悔悟」の精神を表現するときにモチーフに選ばれるのがマグダラのマリアでした。

この時代、フィレンツェの美術の中では二つの大きな流れがありました。
精神性を強調したシンプルで荘厳なスタイルと、デズィデーリオ・ダ・セッティニャーノの流れを組む洗練され落ち着いた雰囲気のスタイルです。

サヴォナローラによって華やかなルネサンスに影が差した時代、それを代表する作品の一つがフィリッピーノの2人の苦行者の姿なのです。

参照 Galleria dell'Accademia, Giunti, Firenze 1999. ISBN 8809048806
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。