修復された東方三博士の礼拝〜4〜 神殿のモデル

シニョーリア広場地区
04 /23 2017
レオナルド・ダ・ヴィンチ作「東方三博士の礼拝」の修復が終わった記念に開催されている特別展「Il cosmo magico di Leonardo da Vinci: l’Adorazione dei Magi restaurata レオナルド・ダ・ヴィンチの魅惑のコスモ、修復された東方三博士の礼拝」(2017年3月28日〜9月24日)を紹介する第4弾です。

修復が終わって光と輪郭を取り戻したレオナルドの三博士。
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絵画の下の部分は聖母を中心に、人々が驚きの表情や仕草で渦を巻くように構成されています。
他の芸術家たちが伝統的に使ってきた「東方」を表現するために描かれるエキゾチックな動物や、豪華な人物の衣装などは省略され、幼児の姿でありながら祝福を与えるイエスにエピファニア(神性の顕示)というテーマが強調されています。

その背後にあるのは左上の「神殿」と右上の「戦闘図」です。
これはキリスト教以前の世界を表していると言われます。
神殿は「エルサレム神殿(古代エルサレムに存在したユダヤ教の礼拝の中心地で、唯一の神ヤハウェの聖所)」ではないかと考えられています。この部分はヘブライズム(ヘブライ人の文化、宗教、思想)と多神教信仰の退廃を表現しているのです。

レオナルドが作品のために用意した下絵の中には、この神殿の部分を一点透視図法で描こうとした研究を見ることができます。
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とても緻密な構成の上に描かれているのですね。この下絵はウッフィ美術館の所有です。

さらにこの神殿はフィレンツェのサン・ミニアート・アル・モンテ教会をモデルにしたという説もあります。
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確かに教会の内陣の部分に似ているようです。
ただしこの教会はロマネスク様式なので、同じ時代の他の教会にも見られる構造です。フィエーゾレの大聖堂の内陣も似ています。

特別展が終われば、ウッフィ美術館のレオナルド関連の3作品は違う部屋に移されることになります。新しい展示室も楽しみです(ガイドとしては、余裕を持って鑑賞できる空間が用意されていることを祈ります)
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。