デカメロンの物語の始まり

S.マリアノヴェッラ地区
10 /26 2012
14世紀にボッカッチョが著した『デカメロン』は、イタリア散文芸術の始まりと言われます。
ダンテの『神曲』に対して、『人曲』とも呼ばれるぐらい人間臭い物語集。「千一夜物語」から影響を受けています。
1348年に大流行した疫病ペスト(フィレンツェやシエナでは人口の半分がこの病で倒れたという大災害でした)から逃れるために邸宅に引き篭もった10人の男女が退屈しのぎに、それぞれ物語を語って、他の人に聞かせます。1人が1物語ずつ、10日間にわたって。なので10×10で100の物語が語られます。ちなみにデカメロンはギリシャ語の「10日」に由来にしています。
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そして、この物語の冒頭のシーンはフィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会で始まるのです。

「ある火曜日の朝のこと、聖マリア・ノヴェッラ教会で、ほとんど他には人影一つありませんでしたが、こうしたご時世にふさわしい喪服をつけた7人の若い淑女たちが、ミサを拝聴したあとで集まりました。」
7人は町から出て行く算段をします。
「この土地から出て行くのが一番いいことだと考えるのでございます。わたしくたち銘々がたくさんもっている田舎のわたくしたちの土地に行って正直に暮らすこと…」
ところが一人が「女ばかりではよくない」という意見の述べ、ちょうどそこに教会に入ってきた3人の紳士に目を付けるのです。
なんと都合のいいことに3人の紳士のそれぞれの思い人たちが7人の女性の中にいたので、「よろこんで承諾した」んですね。据え膳食わぬは…というヤツです。

現在のサンタ・マリア・ノヴェッラは16世紀の改築後の様子で、デカメロンの物語の時代とは違った様子になっています。でもこの教会を訪れる時には、このあたりで10人の男女が話をまとめたのかな?と想像してみると楽しいです。
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ちなみに巨匠ミケランジェロがこの聖堂に恋をして「la mia sposa 私の花嫁」と呼んでいたという話もあります。

参照 『デカメロン』ちくま文庫
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。