ジョットは渋茶?

パドヴァ
11 /07 2012
パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂は14世紀初め、ジョットがフレスコ画法によって装飾しました。
それまでの宗教画では神も聖人も、絵画を鑑賞している者を真っすぐに睨み据えるように、不動で正面を向いてました。
ところがジョットの作品では人物は…
正面、横向き、斜め、そして上から下に見下ろす、反対に下から上に見上げる、などの様々な向きで表現されています。これがジョットの作品の革新的であった点の一つです。

そして何と言っても「人間らしさ」を表したのがジョットの作品の偉大な点です。
アンナ(マリアの母親)が妊娠のお告げを受けるこのシーン
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窓からむりやり侵入する感じの天使の出現に驚くアンナ、そのメインの物語とは別に、左で糸を紡いでいる女性がいます。パドヴァのガイドによれば西洋の絵画で「女性の仕事、家事」が最初に描かれた場面だそうです。

そして互いに天使のお告げを受けたヨアキムとアンナが金門で感激の再会をする場面
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ここでは最初の「情熱的な接吻」が表されています。ユダがイエス逮捕の際にする「裏切りのキス」とは違う、情感のこもったキスです。これも西洋絵画史上はじめてのこと。

このように革新的な部分がいくつもあるジョットですが、人間の感情をわかりやすく表現するために、余分な華美な装飾は切り捨ててあります。したがって華やかさはありません。
芸術家のお客様の批評によれば「目にご馳走のボッティチェッリは美味しいジュース、ジョットは旨味のある渋茶」とのこと。言い得て妙です。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。