奇跡をおさめる天蓋祭壇

フィレンツェ市
11 /12 2012
フィレンツェのオルサンミケーレ教会にはとても美しい祭壇があります。
タベルナーコロ
14世紀半ばにアンドレア・オルカーニャが約10年間をかけて製作した作品です。
祭壇には1347年にベルナルド・ダッディが描いた「聖母子と天使たち」の絵画が収められています。
bernardo daddi
ベルナルドはジョットの工房で弟子として修行した、いわゆるジョット派(ジョッテスキ)の一人です。
もともとこの教会には「奇跡を招く」とされていた聖母像(ウゴリーノ・ディ・ネーリオ)の作品がありました。これが14世紀始めの火事で焼失してしまい、その代わりにベルナルドが聖母子像を描いたのです。

絵画を収める壁龕(タベルナーコロ)は色のついた大理石や金や細かい細工を幾何学模様に嵌め込んだ天蓋です。
小礼拝堂には4本の螺旋状の小柱がついた柱があり、ベースの部分は「美徳」や「マリアの物語」が高浮き彫りで表わされたパネルで装飾されています。
orsanmichele1
反対に祭壇の裏側は唯一の大きな浅浮き彫りで「聖母への神のお召しと被昇天」が見えます。

疫病や銀行破産が続き、危機の時代の芸術家であるオルカーニャは、ジョットの生み出した「人間らしさ」から「神の厳格さ」へと中世に後戻りをした作風と考えられています。
しかしこの繊細で華麗なタベルナーコロを見ると、この芸術家のまた違った一面が見えて面白いのです。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。