右か左か、それが問題だ

芸術を読み解く
11 /14 2012
『受胎告知』の場面では、ふつう左に大天使ガブリエルがいて、右のマリア様にお告げをしています。
大部分の作品がこの配置です。ところが時々、反対に配置されている作品があります。
エル・グレコの作品の例が有名なようですが、ピサ大聖堂の扉でも、下のクレスの教会のルネッタでも、反対の配置です。
annunciazione

だいたい大多数の「左→天使、右→聖母」の配置はどうしてなのでしょう?調べてみると色々説があって

(1)ユング心理学的にみると、画家は画面の左側と上部を上位と考えてる(ガブリエルが上位説)

(2)キリスト教美術においては、絵画の「中央」か「右」に聖性が与えられる
アウグスティヌスによれば、「右」は「永遠の生」の象徴である(マリアが上位説)
「右」が「正しい」ということは、『最後の審判』でも天国は神の右手に置かれることに見られます。

(3)横書き文化圏(文字を左から右に書く)では、左から右へ視線移動する作品が多く見られる

結局どれが正しいのかはよくわかりませんが、『受胎告知』で天使のお告げがまるで漫画の吹き出しのように画面に書かれていることがあります。左にいる天使の言葉がその口からもれて、文字が右に続き、右手にいるマリア様に届くのです。
annunciazione
これを見ると、文字を左から右に読む文化圏では、物語も左から右に視覚移動をするという(3)の説が有力のような気がします。

スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。