巨匠たちの磔刑像

イベントレポート
11 /20 2012
文化環境遺産省のイベントであるFlorens2012、オブジェ化したサンタクローチェ教会と大聖堂広場を紹介しましたが、実はもう一カ所あったのです。

サンジョヴァンニ洗礼堂に3体の磔刑像が並んで展示されました。
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製作年代  制作者        通常展示場所
1406-1408 ドナテッロ(20-22歳)サンタクローチェ教会
1412    ブルネレスキ(35歳) サンタマリアノヴェッラ教会
1493    ミケランジェロ(18歳)サントスピリト教会

普段は別々の教会に展示されている磔刑像を見比べることのできるチャンス!ブルネレスキミケランジェロの作品は普段は撮影ができない場所にあり、ドナテッロの作品も近くで見ることができません。そのうえ無料ということで、連日たくさんの人が列をなして見学にきていました。

ブルネレスキから「百姓」と酷評されたドナテッロのイエス
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近くでみると胸部がかなり厚くなっています。ちょっとせむしっぽい?そしてよく見ると右腕が根元から外れるようになっています。
このような木彫りの磔刑像は、十字架から降ろして他の木彫り像と合わせて、イエスが十字架から降ろされた場面を再現することがあったのですが、そのような使いかたをするためなのか?それとも他の理由があったのか?

ドナテッロに「百姓ではなく本当に神の子」と絶賛されたブルネレスキの作品
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実は他の二人のガイドと一緒に見学したのですが、3体の中でこの作品が「一番美しい」と意見一致をみました。
肉体のバランス、筋肉のつき方が美しいのです。これはライトアップされることによって浮き上がる陰影でいつもよりも筋肉がはっきりと見えたおかげだと思います。
苦しみのためにこわばった脚の筋肉が生々しい…
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そしてミケランジェロの若い頃の作品とされるこちらに作品
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若い頃の作品とはいえ、ミケランジェロのいつもの作風とかけ離れすぎています。
筋肉がそげ落ちたような容貌は清貧さを表しているようにも見えますが、それにしても肋骨などの表現が乏しいのっぺりした感じです。でも18歳の時の作品だとすれば、大したものです。
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ところでいつも見ることができないのがこちら
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十字架の裏側です。ドナテッロミケランジェロの作品は十字架にそってイエスの背中があるので、臀部が見えません。ところがブルネレスキの作品だけは、イエスが身体をよじっているので臀部が十字架の後ろからもはっきり見えるのです。ブルネレスキは何の意図をもって尻を十字架の外にはみ出るように彫ったのか?十字架の裏側は普段に視界に入らない部分、そこまで彫ったのはなぜか?そのほうが自然なポーズだったのか?疑問が疑問を呼びます。
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。