ターバンの肖像画

フィレンツェ市
12 /04 2012
ウッフィツィ美術館には1000点ほどの肖像画があるのですが、その中でもジョーヴィオシリーズが484点を占めます。
ウッフィツィ美術館
最上階の廊下の左右上部を飾っている肖像画です。これは人文主義者パオロ・ジョヴィオがコモの邸宅に集めていた文学者・詩人・名士たちの肖像画コレクションを、コジモ1世の命令でクリストーファノ・デッラ・アルティッシモが模写したものです。

この中に中東のターバンを巻いたような肖像画が混ざっていて、とても不思議な感じがします。ジョヴィオはなぜこのような肖像画もコレクションしていたのでしょうか?

ジョヴィオはパドヴァで医者になる勉強をした後、歴代の教皇に仕えました。メディチ家出身の法王クレメンテ7世の主治医を勤めたこともあります。
ジョーヴィオ
教皇庁の利害が絡んだ多くの戦争や外交会議に参加した経歴から、単なる医者ではなかったことが判ります。そして軍事・政治中の出来事や人物の記録をしていきます。
またコモの屋敷のために肖像画を集め、その肖像から刺激を受けて「伝記」を書くようになりました。
こうして歴史家として知られるようになっていきます。『トルコ情勢記』など、イタリアに限らず、幅広く世界史を書こうとしました。

したがってジョヴィオシリーズの中東系の肖像画は、外交会議などに参加した機会を活かし、彼自身の幅広い興味の範囲に応じて収集されたものだと考えられます。

ちなみに有名なヴァザーリの『芸術家列伝』(最初の美術歴史本とも言えます)もジョヴィオの「伝記」から刺激を受けて書かれました。

参照>「イタリアルネサンス事典」J.R.ヘイル著 東信堂
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。