慈愛はラブではなくてチャリティ

芸術を読み解く
01 /29 2013
フィレンツェウッフィツィ美術館にあるポッライオーロとボッティチェッリの作品「美徳の偶像」を見ていきたいと思います。
7つの美徳を人の姿で表現したシリーズです。カトリックの世界で7つの美徳は7つの大罪と比較されるものです。イコノグラフィー(図像学)から見ても、覚えておくと役に立つシンボルがありそうです。

7つの美徳のうち3つの対神徳が「慈愛」「希望」「信仰」です。
そしてこれらの対神徳の中でもっとも大切なものとされるのが「慈愛」です。
「慈愛」はラテン語でcaritas イタリア語でcarità 英語でcharity
慈愛はラブではなくチャリティなんですね。慈愛は「施すべきもの」なのです。
キリスト教では「神の愛」と「隣人への愛」がありますが、後者は視覚的に表現しやすかったものです。
「神の愛」は13世紀にボナヴェントゥーラ(13世紀のルッカ出身の画家)が「光または燃える炎」として表現しました。それからイタリアでは慈愛は「炎」とともに表すようになっていきます。

ポッライオーロ「慈愛」
愛情の炎が手の上にひらめき、片側では授乳しています。
慈愛

慈愛の偶人像は
◉炎が出ている壷を持っている
◉ロウソクを持っている
◉燃える心臓を掲げる(14世紀以降)

さらに「大地の慈愛」を表す
◉豊穣の角を持っている
◉果物の鉢を持っている

◉2人の幼児に授乳させる
古来の「授乳の聖母」のイメージから来ていて、14世紀から使われ始め、燃える心臓やロウソクよりも優位になって、こちらが「慈愛」の標準的な型になります。次第に3、4人の子供が母親にまとわりつくイメージへ変換していきます。

▲対立する悪徳は
「貪欲」金入れか財布を持つか、金庫を満たす
「嫉妬」心臓をかじり、蛇を伴う(ジョットに起源をもつルネッサンスの伝統では「貪欲」に代わって「嫉妬」が「慈愛」の対立になります)
「残虐」これは授乳させる慈愛の反対で、子供を痛めつける行為をします
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伊藤裕紀子

イタリアのフィレンツェ在住24年目。フィレンツェ県とピサ県の公認ライセンスガイド。何年たっても知り尽くせないイタリアの魅力を追求中。個人旅行のガイド、通訳の依頼も請けております。